寒い季節になってこどもたちが熱をだすと、お母さんたちから「インフルエンザでしょうか?」という質問をよく受けます。インフルエンザは12月から3月までの冬の4ヶ月の間に毎年流行しています。インフルエンザにかかるとふつうの風邪よりも症状がひどくなり、38~40度℃の高熱とともに頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強くでます。インフルエンザかどうかはもちろん症状や流行状況が参考となりますが、のどやはなの粘膜を綿棒でこすって調べる迅速診断キット検査でも約15分前後で判定できます。インフルエンザの合併症は中耳炎・気管支炎・肺炎などがありますが、特に小学校入学前の乳幼児では脳炎・脳症を合併することが知られています。脳炎・脳症は症状がでてから0~2日で死亡することの多い合併症です。毎年約100人のこどもたちが死亡し、同じくらいの後遺症患者がでています。
では、インフルエンザの予防接種は必要なのでしょうか? 統計的には、予防接種を受けていたこどもたちの方が症状が軽くなり、重い合併症を防ぐことができるといわれています。けれども予防接種を受けてからインフルエンザに対する抵抗力がつくまでに2週間程度かかり、その効果が十分に持続する期間は約5ヶ月間とされています。ですから流行がはじまる前に、すなわち10月下旬から12月中頃には接種を終えてインフルエンザに対する抵抗力をつけておきたいものです。さらにインフルエンザウイルスは性質を変えながら流行するので、毎年ワクチンを接種することが勧められますし、13歳未満では2回の接種が勧められています。ただし強い卵アレルギーのあるこどもたちは、かかりつけの先生と相談してください。
新しい話題として、今シーズンにはこどもたちもインフルエンザウイルスの活動を抑制する新薬(タミフル)を用いることができるようになりました。成人の場合、この治療薬を熱がでて1~2日以内に服用すると効果があります。
こどもたちにもインフルエンザ治療の選択肢が増えたことは喜ばしいことですが、予防接種による予防は治療に勝ると言えるかもしれません。
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藤崎商店街にある、ちょっとおしゃれで上品なクリニック。先生は植物の水やりや地図が好きで、必要なときには漢方薬も処方されます。貸し出し図書もあり、お母さんたちも一緒に病気のことや子育てを考えていきましょうという雰囲気が感じられます。